「度数が変わるメガネ」を実現するフレネル液晶レンズ技術

 
「フレネル液晶レンズ」は、「液晶レンズ」と「フレネルレンズ」を組み合わせたエルシオ独自の技術です。本技術により、電圧変化によりピントを変えられる「液晶レンズ」を、メガネで十分快適に使用できるほどに「薄型・大口径化」することに成功しました。
 
エルシオは本技術によって、「分厚くて視野が狭い」という従来の液晶レンズの欠点を克服し、広い距離の対象物に対してピントが自動で切り替わるメガネ(オートフォーカスグラス)を実現します。
 
「液晶レンズ」と「フレネルレンズ」。これらを合わせると「フレネル液晶レンズ」になる。
「液晶レンズ」と「フレネルレンズ」。これらを合わせると「フレネル液晶レンズ」になる。
 
 

液晶レンズとは

世の中の多くのメガネには、プラスチックやガラスのレンズが使われています。対して、エルシオのオートフォーカスグラスに使われるのは「液晶レンズ」と呼ばれる特殊なレンズです。液晶レンズは、多数の液晶分子を透明な基板の内部に封入した構造をしています(図1)。
 
図1:液晶レンズの構造
図1:液晶レンズの構造
 
液晶レンズに電圧をかけると一部の液晶分子の向きが変わり、同時に内部を通る光の曲がり方も変化します。電圧のかけ方を工夫すれば、普通の凸レンズや凹レンズと同様の光の波面(光の進み方を示す面)をつくることで、光を集めたり発散させたりすることも可能です(図2)。さらに、電圧を細かく調整して光を結ぶ位置(焦点)を自在に変えることもできます。
 
電圧を変えるだけでさまざまな度数を実現できる画期的なレンズ。それが、液晶レンズなのです。
 
図2:(中央)電圧をかけていない場合。液晶レンズを通っても光の波面は変化しない。(左)ある方向に電圧をかけた場合。液晶レンズを通った光は、まるで凸レンズを通ったように1点に集まる。(右)左側の図とは逆方向の電圧をかけた場合。液晶レンズを通った光は、まるで凹レンズを通ったように発散する。
図2:(中央)電圧をかけていない場合。液晶レンズを通っても光の波面は変化しない。(左)ある方向に電圧をかけた場合。液晶レンズを通った光は、まるで凸レンズを通ったように1点に集まる。(右)左側の図とは逆方向の電圧をかけた場合。液晶レンズを通った光は、まるで凹レンズを通ったように発散する。
 

フレネル液晶レンズによりピント調整可能なメガネを実現

「薄型・大口径」を実現するフレネル液晶レンズは、メガネ用のレンズとして違和感なく(重すぎたり視野が狭すぎたりすることなく)使用可能です。さらに、度数可変範囲は従来の液晶レンズと遜色ありません。つまり、本技術を使用すれば、「使いやすくて」「どこを見てもピントが合う」メガネを実現できます。
 
 
図3:フレネル液晶レンズを使用したメガネ(※過去に作成したプロトタイプ)
図3:フレネル液晶レンズを使用したメガネ(※過去に作成したプロトタイプ)
 

オートフォーカス機能で「自分に自動で合わせてくれる」メガネを可能に

フレネル液晶レンズを使用したメガネに自動ピント調節機能(オートフォーカス機能)を追加すれば、「自動でピント調整できるメガネ(オートフォーカスグラス)」を実現できます。このメガネは装着者の目の動きに合わせて度数が自動で変化するため、自分で度数を調整する必要がありません。
 
老眼や乱視、弱視、近視など、装着者の目の状態を的確に把握して自動で最適な状態に合わせてくれるメガネ。そのような次世代のメガネを実現すべく、エルシオはオートフォーカス機能の開発も積極的に進めています。
 
図4:オートフォーカスグラス(イメージ図)
図4:オートフォーカスグラス(イメージ図)